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豊かな趣のある都市美を求めて

2019.10.28

 先日、岡山市内にて開かれた『岡山の緑を考える講演会/豊かな趣のある都市美を求めて』を受講してきました。

 千葉大学の名誉教授である藤井英二郎氏による『街路樹が都市をつくる』と題された講演は、実際に岡山市の街路樹管理に携わる者として実に興味深く、また考えさせられるものでした。

 ケヤキ・プラタナス・ユリノキといった落葉高木は、そのメリットを言えば『夏場に日陰(緑陰)を得られる』『紅葉や黄葉が美しい』『冬には葉を落として寒い日陰を作らない』など多くの点を挙げられますが、街路樹においてそれらの要素は近隣への落ち葉問題を初めデメリットとして語られてしまう事もしばしばです。

 秋に強めな剪定を行えば落ち葉を減らし近隣ご居住者の清掃手間を軽減する事ができますが、その反面樹勢の低下を招いたり樹冠の縮小により夏場に十分な緑陰を作れないなど、本来なら街路樹から得られる恩恵を失ってしまうという別側面の問題が発生します。

 この一方を優先すればもう片側は成立しない難しい問題を、藤井氏は『樹冠を拡大し、その木が街路樹として存在している本来のメリットを得るべき』という明確な指針をもって我々に説きました。

 考えてみれば街路樹とは、都市開発により地域に自然が失われた事に対する『罪滅ぼし』として植えるものではなく、都市における生活をより豊かなものにするべく『必要だから植え、育てるもの』であるはずです。

 街路樹維持管理に際して我々は何を優先し、どのように趣ある都市美を創造・維持してゆくのか、これからの岡山の緑を考える上でとても役立つ講演会でした。

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